ニュース

ニュース

【MGCファイナリスト】鈴木亜由子選手インタビュー Vol.1

2018.10.25


 2019年9月15日に実施が決まった東京オリンピック男女マラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」出場権を懸けて展開されている「MGCシリーズ」は、8月26日に行われた「北海道マラソン」から、いよいよ2期目となる「2018-2019シーズン」がスタートしました。12月には、男子の次戦として「福岡国際マラソン」が12月2日に、女子の次戦としては「さいたま国際マラソン」が12月9日に、それぞれ開催を控えています。
 今回のMGCファイナリストインタビューは、鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)です。
中学生のころからトップ選手として注目を集め、世界ジュニア選手権(現U20世界選手権)入賞、世界クロスカントリー選手権日本代表等の実績を持つほか、ユニバーシアードでは金メダルも獲得している鈴木選手は、社会人となってからさらに大きく躍進し、2015年北京世界選手権5000mで9位の成績を収めるなど5000m・10000mでオリンピックや世界選手権を舞台に活躍してきた選手です。今年、北海道マラソンで、初めてマラソンにチャレンジ。2時間28分32秒をマークして優勝を飾るとともに、MGCファイナリストに名前を連ねることとなりました。
 初めて挑んだマラソンの感想は? 東京オリンピックに向けた展望は? 初マラソンから1カ月半ほど経った10月中旬、日本郵政グループ女子陸上部寮のトレーニングルームで話を伺いました。

◎取材・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)
◎写真提供:フォート・キシモト

走ってみて実感した
マラソンの過酷さと魅力


―――北海道マラソンから少し経ちましたが、どうでしたか? 初めてマラソンを走ってみて。
鈴木:走り終えての率直な感想としてあったのは、まず42.195kmを走り切れてよかったなという安堵感でした。
―――初マラソンに、北海道を選んだ理由は?
鈴木:一番の決め手となったのは、「夏」であったことですね。唯一、北海道マラソンが夏に行われるので。東京オリンピックのマラソンを見据えてというのもありましたし、私の特性も考えて、北海道マラソンがベストなのかなと思って決断しました。
―――鈴木さんの特性が、「夏」に向いている?
鈴木:はい。具体的に数値をとって…というわけではないのですが、練習していて明らかに(自分は)夏のほうが得意なんだろうなと感じるので。練習期間が短いという面での不安はありましたが、(マラソン挑戦を)先に延ばして、それでうまくいく保証もなかったので、まずは1本走ってみて適性を確かめたい、と。そういう思いが強かったんです。
―――実際に走ってみていかがでしたか? 序盤から、計画的に走っていったという印象があるのですが、どんなレースをしようと? 
鈴木:初マラソンでしたし、2時間30分を切って、しっかり最後まで粘って走れたらなと思っていました。ですから、前半はペースをうかがいながら走って、後半を上げていければいいなと、冷静に走りました。
―――冷静に走りきることができた?
鈴木:そうですね。ただ、予想していたのとは違う、マラソン特有の脚へのダメージというか、そういうのを経験して、「ああ、これは走っていなければ、わからなかったな」という感覚を味わいましたね。
―――順位は、あまり意識していなかったのですか? それとも順位を見据えつつという感じで?
鈴木:MGC獲得というのは大前提でしたし、走るからにはやはり優勝というのを目指していました。(12km手前で)谷本観月さん(天満屋)が飛び出して結構差が開いてしまったのですが、(25km過ぎで)折り返してから追い風になることがわかっていたので、着実に詰めていければ追いつくことは可能かなと思っていました。
―――谷本選手との差は、25km地点で53秒くらいまで開いていました。
鈴木:はい。そのときは「ちょっと厳しいかな」と思いました。でも、谷本さんがすごく調子よくて追いつけないのなら、もうそれはそれで仕方がないと考えて、自分の走りに集中して、確実に縮めていくことを意識しました。
―――28kmで単独2位に浮上し、33km手前でトップに立ってからは、“一人旅”となりました。「走っていなければ、わからなかった」というマラソンならではのつらさは、どのあたりで感じたのですか?
鈴木:ラスト10kmくらいですね。「練習と本番はやはり違うんだな」と思いました。前ももとふくらはぎに、かなり痛みを感じて…。マラソンを走ったら、みんなそうなるのでしょうか? 「42.195kmを走る間には、なにかしら身体には異変が起きるんだな」と感じて、「まだまだ弱いんだな、強化しないとな」と思いながらラストは走っていました。
―――呼吸とかよりも脚が…?
鈴木:そうですね。
―――痛み? だるさとか重さではなく?
鈴木:痛さです。練習のほうでは、呼吸がきつくて、(本番では)スタミナ切れとかあるのかなと思っていたのですが…。(レースでは)そこまで速いペースで入っていなかったので、それは感じなかったです。
―――スタミナ面はクリアできたということでしょうか?
鈴木:今回の場合ということでは、そうですね。でも、これがもっと速い展開になったら、きっと違うのだろうと思います。
―――実際にマラソンを経験してみて、どうでしたか? 「もう、いいや?」と思いましたか? それとも、「もっと走ってみたい?」と思いましたか? 
鈴木:「ああ、やっぱりマラソンは過酷だな」というのはすごく感じましたね。練習しないと弱いところが本当に顕著に出るんだなということを感じましたし。でも、その半面で、課題に向き合って、突き詰めて、本番でしっかり結果を残すというのも、またマラソンの魅力なのかなと感じたので、「また、チャレンジしてみたい」という思いになりました。

初のマラソントレーニングは
自分のスタイルを探りながら


―――北海道マラソンに向けてのトレーニングはいつから? 日本選手権後?
鈴木:そうですね、日本選手権以降です。
―――では、「北海道マラソンに出よう」と最終的に決めたのは、日本選手権が終わってだった?
鈴木:(年間)スケジュールは立てるので、考えていたのは日本選手権前からなのですが、(日本選手権で)10000mを走って、「今、10000mでこれくらいの走力だったら、マラソンをやってみよう」と決断しました。
―――マラソンの練習はいかがでしたか? しっかり脚をつくる必要もありますから、トレーニングも全然違ってくると思うのですが。
鈴木:脚づくりの必要性は(髙橋昌彦)監督も仰っていました。やはりそうだな、と。コツコツと重ねていって、やはりごまかしがきかない競技なのかなと思いましたね。
―――同じチームの関根花観さん(注:2016年リオ五輪10000m代表。3月の名古屋ウィメンズマラソンで初マラソンに臨み、初マラソン日本女子歴代4位となる2時間23分07秒でMGC出場権を獲得している)の場合は、もともとマラソンを志していて、長く走るのが好きというタイプと伺いましたが、鈴木さんは? スピードを上げずに、じっくり長く走り続けるということは、スピードタイプのランナーにとって、なかなか大変なことだと思うのですが…。 
鈴木:そうなんですよね。花ちゃんみたいに普段から2時間、3時間走るということは、私は今までなかったので、どうなのかなというのはありました。でも、マラソン練習は人それぞれだと思うし、初めてのことだったので、自分のスタイルを探りながら、「きっと自分はこっちのほうがいいんだろうな」とか、ジョグの時間とかを考えながらやりました。距離の長さでは花ちゃんほど走れていないけれど、練習の質自体は、比較的高い内容ができたのではないかと思います。
―――では、マラソンの準備、トレーニング自体は成功といえる? 
鈴木:そうですね、「これだけ(のタイム)で走ろう」と思って、そのための練習を組み立てていけたので、成功といえるのかなと思います。ただ、ほんとに、まだまだ力不足なので、次のレベルに行くとなったら、もっとトレーニングが必要だろうと思います」


(2018年10月12日収録)


>>【MGCファイナリスト】鈴木亜由子選手インタビュー Vol.2
>>マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)特設サイト