【記録と数字で楽しむMGC】出場者の各種データ
2019.09.10
9月15日(日)、男子8時50分、女子9時10分スタートで、2020東京五輪マラソンの代表を決める「MGC(Marathon Grand Championship)」が行われる。
ここでは、記録や数字を中心に、知っておくとMGCをより一層楽しく観戦できそうなデータを紹介する。
1)MGCで「2位以内」が「即内定」。
2)3位以下の選手(MGC不出場者を含む)が、2019年11月から20年3月の指定レース(男子=福岡・東京・びわ湖。女子=さいたま・大阪・名古屋)で、男子2時間05分49秒以内、女子2時間22分22秒以内をクリアした場合、最もいい記録の選手が3人目に内定。
3)「2」で突破者がいない場合は、MGC3位の選手が内定。
4)MGCで5位以内の男女各2名は「補欠」の資格を有する。
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「表1」は、MGC出場予定選手の5000m、10000m、ハーフ、マラソンの記録などの各種データをまとめたものだ。掲載順は、マラソンの自己ベスト順とし、参考までにドーハ世界選手権出場のためMGCには参加しない6名のデータも末尾に掲載した(氏名の後ろに「×」印)。
各種目の自己ベストには、MGC出場予定者の中での順位を付記した。これによると、男子で4種目とも上位10位以内に入っているのは、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)の3人。これに2018年福岡国際で14年ぶりの日本人優勝者となった服部勇馬(トヨタ自動車)を加えて「四強」とするメディアがほとんどのようだ。結果的にはマラソンの自己ベストの上位4人が有力視される格好だ。さらには、山本憲二(マツダ)、佐藤悠基(日清食品グループ)、中村匠吾(富士通)といったあたりの名が挙がっているようだ。
女子は、各種目の自己ベストでは、マラソンが2位、他の3種目で1位の福士加代子(ワコール)がトップに立つが、2016年のマラソン以外の3種目は、13年以上前のタイム。マラソンの自己ベストでは12人中の最下位(2時間28分32秒)ではあるが、他の3種目では鈴木亜由子(日本郵政グループ)が至近4年間に5000m・10000m・ハーフで福士に続く自己ベストをマークしている。
各種メディアの展望記事を総合すると、トラックやハーフのスピードがある鈴木と松田瑞生(ダイハツ)の評価が高く、それに前田穂南(天満屋)を加えて「三強」というのが大半のようだ。
この3人に続いて岩出玲亜(アンダーアーマー)、野上恵子(十八銀行)、上原美幸(第一生命グループ)、一山麻緒・安藤友香・福士加代子のワコールトリオらの名前があがり、「実力伯仲で大混戦が予想される」という記事も多い。
以下に、「表1」の項目の説明をしておく。
「年齢」は、レースが行われる9月15日時点のもの。
「生年月日」「身長・体重」は、日本陸連が公表したもの。
「BMI(Body Mass Index)」は、「体重(kg)÷身長(m)の二乗」で求められ、人の肥満度を表す体格指数である。日本肥満学会では、BMI「22」を標準体重としており、25以上の場合を肥満、18.5未満である場合を低体重としている。当然のことながら、BMI出場者は、競技の特性からして全員が「22未満」である。「20.34」の服部勇馬(176cm・63kg)が最大値だ。
「マラソン回数」は、2019年9月1日までに走ったマラソンの回数で、途中棄権や非公認レースも判明している限りカウントしたが、漏れがあるかもしれない。
「MGC資格」は、2017年8月1日から19年4月30日までにMGCへの参加資格を得たレースの記録を示す。なお、上記の期間内の上位2つの記録の平均で資格を得た選手については、いい方のタイムを示した(記録の後ろの「+」印)。
「y=Alogx+B」については、後述するが各選手の5000m・10000m・ハーフマラソン・マラソンの4種目のベストタイムから求めた一次回帰式で、その選手の走力バランスを示す。「Syx」は、回帰式の推定値の標準誤差。
「回帰式による推定値の範囲」は、上記の回帰式から算出したマラソンでの推定タイムとその範囲を表す。中央に記載したのが回帰式上の記録で、左と右は回帰式の推定値の標準誤差(Syx)から求めたタイムの範囲。
以上、少々難しい統計学のことなども紹介したが、「MGC観戦」の一助になれば幸いである。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
兼 第103 回日本陸上競技選手権大会
公式サイト:http://www.mgc42195.jp/
▶8 時50 分 男子マラソンスタート
▶9 時10 分 女子マラソンスタート
男子:TBS テレビ系列全国ネット、TBS ラジオ
女子:NHK 総合、NHK ラジオ
コース:明治神宮外苑発着(日本陸上競技連盟公認コース)
明治神宮外苑いちょう並木~四ツ谷~水道橋〜神保町〜神田~日本橋~浅草雷門~銀座~新橋~芝公園~日本橋~神保町~二重橋前〜明治神宮外苑いちょう並木
ここでは、記録や数字を中心に、知っておくとMGCをより一層楽しく観戦できそうなデータを紹介する。
【東京五輪代表の決定方法は?】
MGC出場権獲得者は、男子34名、女子15名だったが、ドーハ世界選手権出場の男女各3名(川内優輝、山岸宏貴、二岡康平。中野円花、谷本観月、池満綾乃)を除く男子31名、女子12名がエントリーしている。1)MGCで「2位以内」が「即内定」。
2)3位以下の選手(MGC不出場者を含む)が、2019年11月から20年3月の指定レース(男子=福岡・東京・びわ湖。女子=さいたま・大阪・名古屋)で、男子2時間05分49秒以内、女子2時間22分22秒以内をクリアした場合、最もいい記録の選手が3人目に内定。
3)「2」で突破者がいない場合は、MGC3位の選手が内定。
4)MGCで5位以内の男女各2名は「補欠」の資格を有する。
【MGC出場者の各種データ】
表1 MGC出場者の各種データ ▶PDFで拡大してみる▶PDFで拡大してみる
「表1」は、MGC出場予定選手の5000m、10000m、ハーフ、マラソンの記録などの各種データをまとめたものだ。掲載順は、マラソンの自己ベスト順とし、参考までにドーハ世界選手権出場のためMGCには参加しない6名のデータも末尾に掲載した(氏名の後ろに「×」印)。
各種目の自己ベストには、MGC出場予定者の中での順位を付記した。これによると、男子で4種目とも上位10位以内に入っているのは、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)の3人。これに2018年福岡国際で14年ぶりの日本人優勝者となった服部勇馬(トヨタ自動車)を加えて「四強」とするメディアがほとんどのようだ。結果的にはマラソンの自己ベストの上位4人が有力視される格好だ。さらには、山本憲二(マツダ)、佐藤悠基(日清食品グループ)、中村匠吾(富士通)といったあたりの名が挙がっているようだ。
女子は、各種目の自己ベストでは、マラソンが2位、他の3種目で1位の福士加代子(ワコール)がトップに立つが、2016年のマラソン以外の3種目は、13年以上前のタイム。マラソンの自己ベストでは12人中の最下位(2時間28分32秒)ではあるが、他の3種目では鈴木亜由子(日本郵政グループ)が至近4年間に5000m・10000m・ハーフで福士に続く自己ベストをマークしている。
各種メディアの展望記事を総合すると、トラックやハーフのスピードがある鈴木と松田瑞生(ダイハツ)の評価が高く、それに前田穂南(天満屋)を加えて「三強」というのが大半のようだ。
この3人に続いて岩出玲亜(アンダーアーマー)、野上恵子(十八銀行)、上原美幸(第一生命グループ)、一山麻緒・安藤友香・福士加代子のワコールトリオらの名前があがり、「実力伯仲で大混戦が予想される」という記事も多い。
以下に、「表1」の項目の説明をしておく。
「年齢」は、レースが行われる9月15日時点のもの。
「生年月日」「身長・体重」は、日本陸連が公表したもの。
「BMI(Body Mass Index)」は、「体重(kg)÷身長(m)の二乗」で求められ、人の肥満度を表す体格指数である。日本肥満学会では、BMI「22」を標準体重としており、25以上の場合を肥満、18.5未満である場合を低体重としている。当然のことながら、BMI出場者は、競技の特性からして全員が「22未満」である。「20.34」の服部勇馬(176cm・63kg)が最大値だ。
「マラソン回数」は、2019年9月1日までに走ったマラソンの回数で、途中棄権や非公認レースも判明している限りカウントしたが、漏れがあるかもしれない。
「MGC資格」は、2017年8月1日から19年4月30日までにMGCへの参加資格を得たレースの記録を示す。なお、上記の期間内の上位2つの記録の平均で資格を得た選手については、いい方のタイムを示した(記録の後ろの「+」印)。
「y=Alogx+B」については、後述するが各選手の5000m・10000m・ハーフマラソン・マラソンの4種目のベストタイムから求めた一次回帰式で、その選手の走力バランスを示す。「Syx」は、回帰式の推定値の標準誤差。
「回帰式による推定値の範囲」は、上記の回帰式から算出したマラソンでの推定タイムとその範囲を表す。中央に記載したのが回帰式上の記録で、左と右は回帰式の推定値の標準誤差(Syx)から求めたタイムの範囲。
以上、少々難しい統計学のことなども紹介したが、「MGC観戦」の一助になれば幸いである。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
▶マラソングランドチャンピオンシップ
兼 東京2020 オリンピック日本代表選考競技会兼 第103 回日本陸上競技選手権大会
公式サイト:http://www.mgc42195.jp/
▶8 時50 分 男子マラソンスタート
▶9 時10 分 女子マラソンスタート
男子:TBS テレビ系列全国ネット、TBS ラジオ
女子:NHK 総合、NHK ラジオ
コース:明治神宮外苑発着(日本陸上競技連盟公認コース)
明治神宮外苑いちょう並木~四ツ谷~水道橋〜神保町〜神田~日本橋~浅草雷門~銀座~新橋~芝公園~日本橋~神保町~二重橋前〜明治神宮外苑いちょう並木