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【記録と数字で楽しむMGC】高温下でのマラソンと体格(BMI)の関係

2019.09.11
9月15日(日)、男子8時50分、女子9時10分スタートで、2020東京五輪マラソンの代表を決める「MGC(Marathon Grand Championship)」が行われる。

ここでは、記録や数字を中心に、知っておくとMGCをより一層楽しく観戦できそうなデータを紹介する。


【高温下でのマラソンと体格(BMI)の関係】

最新のデータではなく恐縮だが、筆者は、気温が25℃を超えた1990年代の世界選手権&五輪の男子6大会、女子5大会での各選手の成績とBMI(体重kg÷身長mの二乗)の関係を調査したことがある。その結果は、男女ともに「BMIの値が小さい選手ほど好成績を残している」というものだった。

男子は6大会での完走者のうち身長・体重が判明していた(つまり、BMIの値が判明していた)234人を分析し、その相関係数は、0.260027。女子5大会の対象者は152人で相関係数は、0.24258。統計学的には、男女とも「1%水準での有意差あり」だった。なお、BMIの平均値は男子が「20.3」、女子が「18.7」。ただし、完走者と途中棄権者のBMIには有意な差は認められなかった。

完走者の自己ベストを100%とした時の世界大会本番での「達成率」の平均値は、男子が「93.2%」で女子が「94.5%」だった。これを、例えば2時間10分00秒の自己ベストを持つ男子選手にあてはめると平均的な達成率93.2%は2時間19分30秒、2時間30分00秒がベストの女子選手の達成率94.5%は2時間38分44秒を要した計算になる。なお、自己ベストに対する達成率には、持ちタイムのいい選手と悪い選手の間には5%水準未満での有意差は認められなかったが「有意な傾向」は、男女ともにあった。

上述の世界大会完走者のBMIの平均値「男子20.3」と「女子18.7」は、「表1」に示した今回のMGCにエントリーした男子31人、女子12人と比較するとかなり大きな値といえる。MGC選手の男子の平均値と標準偏差は「18.58±0.87」、女子のそれは、「17.25±0.90」である。MGC選手の男子の範囲は「15.85~20.34」、女子は「16.02~19.11」で、1990年代の世界選手権&五輪の平均値である男子「20.3」を上回っているのは31人中1人、女子の平均値「18.7」を上回っているのも12人中1人だった。ということで、MGC選手は、90年代の世界大会出場選手と比較して「スリム」な人が多いようだ。

BMIの値が小さいということは、体重1kgあたりの体表面積が大きいということで、暑さの中で、より「空冷作用」が効くということになるものと考えられる。

なお、BMIと自己ベスト(いい条件の秋・冬・春先に出された記録が多い)との関係を調べるため、2017年末現在の日本歴代で男子2時間10分以内、女子2時間30分以内の記録を有する選手のうち、BMI(身長・体重)が判明している男子82人、女子137人の自己ベストとの関係を調べたが、有意な関係は認められなかった。BMIの平均値と標準偏差は男子19.00±0.97、女子17.31±0.91だった。

暑さに強い・弱いは個人差が大きいであろうから、BMIの値が小さい日本人選手は暑さに強いとは簡単には言えないが、上述のデータからして有利である可能性は高いかもしれない。以前から「暑さが苦手」と公言し、東京五輪につながるMGCを回避した川内優輝は深夜に行われるドーハ世界選手権を選んだ。川内は175cm・62kgで、BMIは「20.24」。上述の世界大会出場者の平均値とほとんど同じ値だ。日本人選手の中ではガッチリ型であることは確かで、上述の世界大会での分析結果からすると川内選手のBMIの値が大きいことと「暑さが苦手」なことは関係があるのかもしれない。



以上、少々難しい統計学のことなども紹介したが、「MGC観戦」の一助になれば幸いである。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


▶マラソングランドチャンピオンシップ

兼 東京2020 オリンピック日本代表選考競技会
兼 第103 回日本陸上競技選手権大会

公式サイト:http://www.mgc42195.jp/

▶8 時50 分 男子マラソンスタート
▶9 時10 分 女子マラソンスタート

男子:TBS テレビ系列全国ネット、TBS ラジオ
女子:NHK 総合、NHK ラジオ
コース:明治神宮外苑発着(日本陸上競技連盟公認コース)
明治神宮外苑いちょう並木~四ツ谷~水道橋~神保町~神田~日本橋~浅草雷門~銀座~新橋~芝公園~日本橋~神保町~二重橋前~明治神宮外苑いちょう並木