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【MGCファイナリスト2名決定!】第74回びわ湖毎日マラソン大会レポート&コメント

2019.03.12



第74回びわ湖毎日マラソン大会
が3月10日、ドーハ世界選手権日本代表選手選考会、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズ2018-2019男子第5戦を兼ねて、滋賀県大津市の皇子山陸上競技場を発着点とする琵琶湖畔のコースで行われました。


雨の中で行われたレースは中盤まで先頭が大集団で進み、その後、徐々に振るい落とされていく展開となりました。残り5kmの段階で山本憲二選手(マツダ)を含めて7人となった優勝争いは、40km付近で外国人選手5人に絞られ、最終的にアセファ・テフェラ選手(エチオピア)とサラエディーン・ブナスル選手(モロッコ)とのマッチレースに。残り200mを切ったところでブナスル選手がテフェラ選手をかわし、2時間07分52秒で優勝しました。日本勢は、最後まで先頭集団に食らいついた山本憲選手が2時間08分42秒の自己新記録をマークして7位、新年度からプロランナーとして活動することを表明している川内優輝選手(埼玉県庁)が2時間09分21秒で8位と、MGCファイナリスト2選手が先着。これに続いた10位の山本浩之選手(コニカミノルタ、2時間10分33秒)、11位の河合代二選手(トーエネック、2時間10分50秒)が条件を満たし、MGC出場権を獲得しました。

 



この日は朝から本降りの雨となる悪コンディション。スタート時(12時30分)の気象状況が、気温11℃、湿度87%、北東の風1.6mと発表されるなか、レースはスタートしました。3人用意されたペースメーカーは、昨年同様に1km3分02秒(5km15分10秒ペース、フィニッシュタイム2時間07分59秒想定)で最大30kmまでつく設定です。

先頭集団はペースメーカーを含む60人の大集団で最初の5kmを15分16秒で入ると、以降は、人数を徐々に減らしながら10kmを30分25秒(この間の5kmは15分08秒、以下同じ)、15kmは45分39秒(15分15秒)、20kmは1時間00分58秒(15分19秒)、中間点を1時間04分14秒、25kmを1時間16分04秒(15分06秒)、30kmを1時間31分07秒(15分02秒)で通過。この間に、MGC出場権を狙って出場していた日本選手たちが次々と振るい落とされていく形となりました。

平津峠を下ってからの29~30kmが2分53秒にペースが上がった先頭グループは、30kmを17人で通過しましたが、ペースメーカー(2人)が外れたそのタイミングでデリベ・ロビ選手(エチオピア)が仕掛けたことで、その直後に2つに分裂。トップグループは、ロビ選手の動きにすぐに反応した山本憲二選手(マツダ)のほか、これについたサラエディーン・ブナスル選手(モロッコ)、アセファ・テフェラ選手(エチオピア)、スティーブン・モコカ選手(南アフリカ)、ベンソン・セウレイ選手(バーレーン)の6人で、少しして第2集団からアルフォンス・フェリックス・シンブ選手(タンザニア)が追いつき、7人の集団となりました。ロビ選手に促される形で山本憲選手が30.7kmから先頭に立ってリードを奪う場面も見られましたが、その後、ペースが落ち着いたことで、30km地点でいったんは離されていた河合代二選手(トーエネック)が32km過ぎで追いつき先頭集団は8人に。河合選手は34kmを過ぎで集団から離されそうになりつつも800mほどで再び追いつき、先頭集団は35kmを1時間46分17~18秒で通過。しかし、河合選手は36km過ぎで再び遅れ始めると、その後の給水で一気に引き離されてしまいました。

トップグループはセウレイ選手とロビ選手がリードする形で一団のまま進んで残り4km地点を通過。34km過ぎから集団の後方に位置するようになっていた山本憲選手は、38.4kmで仕掛けようと一度前に出ましたが、これはすぐにセウレイ選手とロビ選手にかわされ、逆に、39kmを過ぎたあたりから、集団から置いていかれてしまいました。その後、先頭は外国人選手5人に絞られて40kmを2時間01分35秒で通過。少し遅れたシンブ選手が2時間01分42秒で6位、山本憲選手がさらに4秒遅れの2時間01分46秒・7位で通過し、8位には39.5kmで河合選手をかわして日本人2位に浮上した川内優輝選手(埼玉県庁)が2時間02分37秒で続いていく形となりました。

優勝争いが動いたのはそこからの1kmでした。セウレイ選手、テフェラ選手、ブナスル選手が前に出て41kmまでのペースが2分53秒に上がると、41km過ぎでブナスル選手がさらに仕掛け、これについたテフェラ選手との争いに。競技場に入ってきた段階でいったんはテフェラ選手が前に出ましたが、「最後のスパートにかけた」と残り200mを切ったところでブナスル選手が逆転すると、テフェラ選手を突き放し、自己記録(2時間09分29秒)を大幅に更新する2時間07分52秒で優勝。4秒差で2位となったテフェラ選手も、自己記録(2時間08分34秒)を上回る2時間07分56秒でフィニッシュしました。



日本人トップは山本憲選手で自己記録を6秒更新する2時間08分42秒をマークし、7位でフィニッシュ。レース後には、「自分のしてきた練習の成果が発揮できたと思う」と振り返りました。この大会に向けては、「30km前後で前に出て、レースの流れをつくってみようということを考えながら練習に取り組んできた」と言い、終盤、余裕がなくなった様子もあったなか38km過ぎで前に出たのも、「身体がきつい状態で仕掛けてみたらどうなるかという経験を積みたいと思っていたので、チャンスがあったので出てみた」とコメント。「30km過ぎくらいで練習のイメージ通りに前に出られたという部分は、勇気という意味で今後の自信につながったと感じている」と手応えを口にする一方で、「まだまだ世界との差を実感したし、(前に)出たまではよかったけれどペースが長続きしなかった。そこを今後、改善していきたい」とMGCを見据えての課題を口にしていました。

8位には川内選手が続き、2時間09分21秒で日本人2位に。川内選手は、「2時間9分前後で走れる自信はあったのでやってきた通りの結果」と自身のレースを評価した一方で、実は29km過ぎでペースが上がった段階で右ふくらはぎに異変が起き、そこから10kmほどは不安を抱きながらのレースであったことを明かしました。「それがなければ、(2時間)8分台後半はいけたように思うのでもったいない気もする」と言いつつ、「途中棄権をせずになんとか走り切れたことにホッとしているし、公務員として(臨む)最後のレースで、1年半ぶりくらいのサブテンをマークすることができたので、びわ湖に出てよかった」と振り返りました。



山本憲選手と川内選手に続いてフィニッシュしたのは、山本浩之選手(コニカミノルタ)。27.5km手前あたりでいったん上位集団から遅れて30km通過時点では日本人10番手に位置していましたが、その後、少しずつ順位を上げると、陸上競技に入ったところで日本人3番手にいた河合選手をかわして2時間10分33秒(10位)をマーク。MGC出場権を争う上での日本人トップとなって条件を満たし、MGCチケットを手に入れました。また、35kmまで2時間8分台を狙えるペースで好走した河合選手は、さすがに終盤で大きくペースを落としたものの、2時間10分50秒・11位でフィニッシュ。初マラソンとして臨んだ前回大会でマークした自己記録2時間23分13秒を、一気に12分23秒も更新してのMGC出場権獲得となりました(MGC出場権を獲得した山本浩選手と河合選手のコメントは、下記に掲載)。

レース後の記者会見で、麻場一徳日本陸連強化委員会強化委員長は、「山本憲選手が外国人招待選手と堂々とわたりあって、終盤まで走ることができたことは、非常に大きな収穫だったのではないか。離されてしまったラスト5kmの差をこれからどう詰めていくかは、彼だけでなくて、男子マラソン界のこれからの課題になるのではないかと思っている。また、川内選手も、彼の持ち味をよく発揮して、非常に粘り強い走りをしてくれた。これも男子マラソン界にとっては大きな収穫である。さらに、厳しいコンディションのなかで、山本浩選手、河合選手がMGC出場権を獲得した。この条件のなかで、よく粘ることができたのは素晴らしい成果。9月15日までに、さらにレベルアップして、(MGC)当日はもっとレベルの高いレースをしていただきたい」とコメント。

また、「山本憲選手に、今回、(前に)出るのが早かったのではないかと聞いたのだが、彼は、オリンピックやMGCを考えて、“ここでこうしたら、どうなるか”というのを考えて勝負したと話してくれた。今回はたまたま負けたわけが、彼がそのように考えてやっていたということを聞いて嬉しく思った」と述べたのは、瀬古利彦日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー。MGCシリーズをすべて終えての感想を問われると、「人数的には、ほぼ予想通りになっていると思う」と答えたほか、MGCに向けた選考方法を導入したことについて、「若い選手、トラックをやる選手たちが、早めにMGCにトライしてくれたことは大きかったと思う。女子についても、一山麻緒選手(ワコール)のような選手も出てきており、まだまだ行ける」と評価。“世界と戦えるか?”という観点については、「まだまだタイム的には、ケニアやエチオピアに比べたら力はない。もっともっと上げていかないと」と答えながらも、「ただ、オリンピックという意味では、地元の利がある。そこであればなんとか戦える可能性はあると思う」と今後に期待しました。

 

【MGC出場権獲得者コメント】




◎山本浩之(コニカミノルタ)

10位 2時間10分33秒 =日本人3位
 
(MGCに向けて)僕には、このレースしか残されていなかった。(2時間)10分33秒というのは、タイムとしては物足りなさすぎるのだが、MGC(出場権を)を取らなければスタートラインに立つことができないので、まずは、それをしっかり取れたということはよかった。ただ、このままでは勝負は全然できないので、ここからの私にとっての試練になる。そこは気を引き締めていきたいなと改めて思った。

今回は、ペースメーカーが3分02秒ということで、そんなに速くはなかったので、天候は関係なく、30kmまではしっかりと余裕をもってつき、30km以降で勝負することを意識して走ろうと思っていた。27km過ぎで遅れてしまったのは、1月の後半から2月の頭にかけて腰を痛めて2週間近く練習できなかったことが原因。あそこで離れたときは「2週間空いた状態でレースに臨んでいるんだから、これはしょうがないだろう」と受け止め、でも、そこであきらめるのではなく、ここからどう立て直すかということと、もし、今回のレースでMGC(出場権)がとれなかったとしても、何かしら自分のマラソンに残していかなければ…という思いで、冷静に、1人1人拾っていくことを心がけた。今日のような寒くて雨の降っている気候だと何が起こるかわからないので、“気持ちを切らさずに”という思いだけで走ったところが、今回はいい方向に転がったのかなと思う。

(ラストは、2時間11分以内が出るぎりぎりのところとなったが)トラックに入る前に、磯松(大輔)監督から、「残り1km、死ぬ気で行け!」と檄を飛ばされ、それで一気にスイッチが入った。前に河合選手も見えていたので、「あそこを抜けば、間違いなくMGCはとれる」と、ひたすら追いかけることだけを考えて、追いついてからは、できるだけ引き離すことだけを考えた。タイムも一応は気にしていたが、それ以上に、「どれだけ自分の身体が動かせるか」というところだけを考えて走った。

今後については、具体的なところは決まっていないが、まずは9月のMGCでいかに勝つかというところがポイントになるので、そこに焦点を当てて、これから監督と戦略を考えていく。私の場合は、力的には上の選手に比べると見劣りしてしまう状態。力をつけると同時に、戦略的なところをしっかりと練る必要がある。レースプランを含めて、練習についても、しっかりと考えていきたい。


 
◎河合代二(トーエネック)
11位 2時間10分50秒 =日本人4位

びわ湖毎日マラソンを走るにあたっては、MGC出場権獲得を目標にしていたので、それを達成できて素直に嬉しいし、また、タイムも、自己記録を大幅に記録を更新することができたので嬉しく思っている。

天候が雨になることは、事前にわかっていたので、できる限りの対策を考えて臨むことができた。山本選手も言われたように、マラソンでは何が起きるかわからないので、あとは自分との戦いだと考えていた。レースに向けては、(ペースメーカーが引っ張る)30kmまでついていって、そこから後半が勝負かなと思っていた。最後の37~38kmあたりからは、寒さと疲労で身体に力が入らない状態になって、かなりペースが落ち込む形になってしまったが、沿道からの温かいご声援のおかげで、なんとか最後まで走りきることができた。

トラックに入るところで山本選手に抜かれたときは、本当についていく力も残っていなくて、タイムも気にする余裕もなかった。「1秒でも早くフィニッシュできるように」と、最後は力を振り絞って走った。        

マラソンは、今回が3回目。初マラソンは1年前のびわ湖で、自己記録はそのときに出したもの。それからは、1年を通してマラソンのトレーニングをやってきた。30km走やスピードを殺さずに行うインターバルトレーニングを取り入れたりしてきたが、同時にトラックの10000mでも記録を狙っていきたいという自分の思いもあったので、それらをうまくマラソンにつなげることができたのが、今回の(自己記録を大きく伸ばすことができた)要因かなと思う。

4月からトラックシーズンに入るので、兵庫リレーカーニバルの10000mに出場して、まずは27分台に突入し、27分台の(ベスト)タイムを持ったうえで、日本選手権にしっかり臨みたい。そして、日本選手権では、27分45秒切り…あわよくば世界選手権の参加標準記録(27分40秒00)を切りたいなと思っている。


写真提供:アフロスポーツ

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