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【大会レポート】モーエン選手ヨーロッパ新記録で優勝、大迫選手日本人トップでフィニッシュ、MGC出場権3名獲得!/MGCシリーズ「福岡国際マラソン」

2017.12.05
 
第71回福岡国際マラソンが12月3日、ジャカルタ2018アジア競技大会日本代表選考会、東京2020オリンピック日本代表選考会に向けた「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズ2017-2018」を兼ねて、福岡県福岡市の平和台陸上競技場をスタート・ゴールとする42.195kmのコースで行われました。
 レースは、ソンドレノールスタッド・モーエン選手が(ノルウェー)が、ヨーロッパ新記録となる2時間05分48秒の好記録で優勝。日本勢では、男子5000m日本記録保持者(13分08秒40)で、マラソン2回目の大迫傑選手(Nike ORPJT)が日本歴代5位の2時間07分19秒をマークして、日本人トップの3位でフィニッシュしたほか、日本人2位・3位には一般参加での出場だった上門大祐選手(大塚製薬、2時間09分27秒・6位)と竹ノ内佳樹選手(NTT西日本、2時間10分01・7位)が続き、この3選手が、2019年9月以降に開催が予定されているMGC出場権を獲得しました。 

 レースは、正午のグラウンドコンディションが、天候曇り、気温14.1℃、湿度57%、北の風2.0m(主催者発表のデータによる)という条件のなか、12時10分にスタート。前日のテクニカルミーティングで、先頭集団には1km3分(5km15分00秒)のペースメーカーが30kmまでつくこととなりました。
 最初の5kmは14分59秒、10kmは30分01秒(15分01秒)で通過。前回覇者のイエマネ・ツェガエ選手(エチオピア)が6km過ぎで遅れた以外は、海外国内招待選手、一般参加の注目選手らが20名を超える集団のままレースは進んでいきました。12.5kmを過ぎたところで海外招待選手のラニ・ルット選手(ケニア)が、14kmの手前で初マラソンの設楽啓太選手(日立物流)が遅れて、15kmは44分59秒での通過。この辺りから徐々に選手のふるい落としが始まり、17km付近ではロンドン世界選手権9位の川内優輝選手(埼玉県庁)も遅れてしまいます。

 先頭争いに変化が生じたのは、20kmを1時間00分03秒で通過したあと中間点に向かう辺り。給水を機に集団が縦に長くなると、トップが中間点を1時間03分19秒で過ぎるころには後退する選手が増え、日本勢では園田隼選手(黒崎播磨)、リオ五輪マラソン代表の佐々木悟選手(旭化成)、初マラソンの神野大地選手(コニカミノルタ)もついていけなくなってしまいました。その後、上門大祐選手(大塚製薬)も遅れ始めて、23km地点でペースメーカーを除くトップ集団は、ビダン・カロキ選手(DeNA/ケニア)、スティーブン・キプロティク選手(ウガンダ、2012年ロンドン五輪・2013年モスクワ世界選手権マラソン金メダリスト)、アマヌエル・メセル選手(エリトリア)、ソンドレノールスタッド・モーエン選手(ノルウェー)、メラク・アベラ選手(黒崎播磨/エチオピア)、大迫傑選手(Nike ORPJT)、深津卓也選手(旭化成)、竹ノ内佳樹選手(NTT西日本)、佐藤悠基選手(日清食品グループ)の9名に。25kmを1時間15分04秒で過ぎたころには、モーエン選手、カロキ選手がペースメーカーにぴたりとつき、日本選手は集団の後方に位置する形となりました。

 28km手前で佐藤選手と深津選手が遅れ、29km手前で竹ノ内選手、アベラ選手がこぼれると、先頭集団は5人に。30kmを1時間30分08秒で通過してペースメーカーが外れると、モーエン選手とカロキ選手が先頭に立ち、その後ろに大迫選手、さらにキプロティク選手、メセル選手が続く展開となりました。ここでカロキ選手が仕掛けてペースが上がるとメセル選手が後退。その後はモーエン選手とカロキ選手が激しく競り合いながら、大迫選手、キプロティク選手との差をじりじりと広げていきました。
 モーエン選手とカロキ選手は30~35kmを14分37秒(カロキ選手は14分38秒)に引き上げて35kmを1時間44分45秒(カロキ選手は1時間44分46秒)で通過しましたが、36kmの給水を利用してモーエン選手がスパート。37kmまでの1kmを2分53秒にペースアップしてカロキ選手を突き放しました。モーエン選手は、40kmまでの5kmも14分38秒でカバー(1時間59分23秒)、最後の2.195kmを6分25秒で走りきり、従来の自己記録2時間10分07秒(2017年)を大幅に更新するとともに、非アフリカ系のアスリートでは公認レースで初めて2時間6分を切る2時間05分48秒(ヨーロッパ新記録)をマークして、マラソン初優勝を果たしました。

 モーエン選手は1991年生まれの26歳。17歳までクロスカントリースキーに取り組み、2007年から陸上競技に転向した選手です。レース後は、「6週間前にハーフマラソンでよい成績(59分48秒)を出し、その後のトレーニングも順調に進んでいたので自信はあったが、タイム的には2時間7分台、うまくいけば2時間6分台が出るかと考えていた」と、今回の記録が想定以上の結果であったことを明かしつつ、「天候がよかったし、ペース配分もよかったので、30kmまでエネルギーを残すことができ、残りの12kmをしっかり走りきることができた」と笑顔で振り返りました。
 30~35kmで先頭争いから遅れた大迫選手は、35km地点でトップに18秒の差はついたものの、この5kmを14分55秒でカバーして、3位(1時間45分03秒)で通過。その後、37.4km手前でキプロティク選手にかわされましたが、ここで離されることなく、ぴたりとつく粘りを見せて、38.9km過ぎでキプロティク選手とともに2位のカロキ選手を逆転します。キプロティク選手にはその直後に突き放されたものの、35~40kmを15分18秒(2時間00秒21秒)、最後の2.195kmを6分58秒でカバーし、キプロティク選手(2時間07分10秒)に続く2時間07分19秒(日本歴代5位)で走りきって日本人トップの3位でフィニッシュ。2時間11分00秒以内で日本人1~3位という条件を満たし、MGC出場権を獲得しました。

 日本人2位となる6位に食い込んだのは、このレースがマラソン3回目(※)となる上門選手。中間点を過ぎたところで先頭集団からは遅れましたが、25km以降の各5kmを15分44秒、15分47秒、15分44秒とペースを維持。39.5kmで竹ノ内選手を抜いて日本人2位に浮上すると、最後の2.195kmを6分54秒でカバーして、初のサブ10(2時間10分切り)達成となる2時間09分27秒をマークしました。上門選手に続いた竹ノ内選手は、2時間10分01秒で7位に。30km以降で15分57秒、16分23秒と大きくペースダウンして2時間9分台突入にはわずかに2秒届きませんでしたが、初マラソンとなった今年のびわ湖毎日マラソンでマークした自己記録2時間13分33秒を大幅に更新。大迫選手、上門選手とともに、MGCファイナリストの座を手に入れました(日本人上位3選手のコメントはこちら)。

 レース後の記者会見で、尾縣貢日本陸連専務理事は、大迫選手の好走を「今回の走りは、遠ざかっていた感のあった世界と日本との距離を短くしてくれたように思う」と賞賛。さらにレースを振り返って、「(日本選手たちは)5km15分という、かなり速いペースにくらいついてくれた。今までになかった選手の意気込みに、東京五輪に対する意識や意欲の高まりを感じることができた。このレースを機に、日本の男子マラソン界がステージを上げてくれたのではないかと思う」と述べました。
 また、「どうしても走ってほしいと思っていた大迫選手が実力を発揮してくれた。2回目のマラソンは本当に難しいもの。そのなかで期待された以上の走りをしてくれた。よく成長してくれた」と、大迫選手を称えた瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、MGC出場権を獲得した上門選手、竹ノ内選手に対しても、「これまで目立たない存在だったが、よく走ってくれた」と評価。そのうえで「2人は、次の大会が大事になってくる。選手として注目を集める存在となったなかで大迫選手のように走れることが、一流選手の証になると思う」と、さらなる成長を期待しました。 

※上門選手は、2回目のマラソンと報道されましたが、正確には2016年2月の京都マラソン(2時間17分54秒で優勝)、2017年3月のびわ湖毎日マラソン(2時間12分58秒で10位)に続く3回目のマラソンとなります。


文:児玉育美/JAAFメディアチーム
写真提供:フォート・キシモト

★MGC出場権を獲得した3選手コメントこちら

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